マイクロモビリティの世界6 特別編  人が「乗る」か「引くか」!? 折り畳み自動車「Jo-Car」の衝撃

今年10月半ばに開発中と配信した「Jo-Car」は、おそらく日本でも世界でも初めての商品になるのではないだろうか。折り畳みの自転車は数多く存在するが、自動車であって、おまけに折り畳んで、さらに人が引けるとなると、ちょっとすぐにはイメージできないだろう。

開発は大阪市のDOKE(ドーケと読む)という会社。専門はコンピューターシステム、ソフトウェアやユニークなアプリの企画、開発ということで、なぜそこから「自動車」、それも「折り畳み式」が生まれたのか。

発想自体はシンプルで、「コンパクトな自動車は存在するが、コンパクトになる自動車は存在しない」というところから。そして折り畳むと車輪付きスーツケース程度の大きさになるという目標が生まれ、開発にまで及んだ。

この「Jo-Car」、現在鋭意開発中で2023年中には試作車を完成させ、2024年には発売を予定しているというから、相当早いピッチで進められている。

気になる「Jo-Car」のスペックなどを現時点でお伝えできる範囲でお知らせしよう。

  • 法規上の車両区分は「ミニカー」に属する。もちろん日本国内での販売を予定しているが、もし日本で認可がおりない場合は世界販売を予定している。とはいえ是非とも日本でも使えるようになることを望みたい。当然ながら動力はモーター、つまりBEV車両となる。
  • 「ミニカー・カテゴリー」ということは、普通運転免許証以上が運転する際には必要となる。DOKEは免許証不要の改正道交法対応にはこだわらず、道交法を理解する免許証取得者に限定したことは安全面を考えてのことだ。
  • 最も気になる「価格」だが、関係者によると当初は30万円を予定していたが、開発途中で付け足すものも考慮され、結果的に50万円以下になりそうだ。それでも安い!
  • 自動車道路の流れにスムーズに乗るため、最高速度は50キロ/h、一充電当たりの走行距離は30キロだ。充電は家庭のコンセントで行う。
  • 車両重量は30kg。人が引いて運べるところが最大のポイントだから、重量は相当考慮した。もちろん駐車場の心配は一切必要ない
  • 販売方法はテスラ同様「ネット販売」を予定している。注文した家に箱で送られてきて、開いて、外に出せば乗れる、という自動車の常識を良い意味でくつがえすものになる。未定だが、販売パートナーが決まれば積極的に対応する。おそらく家電量販店や大規模自動車用品店などが注目するだろう。

まだ未確定部分が少なくない「Jo-Car」だが、はっきりしていることは、今までどこも考えなかった全く新しい「別次元の価値ある移動」を実現させようとしていることだ。

もしかしたら「Jo-Car」は、超小型EVでも電動キックボードでも為し得なかった「移動を苦痛からエンターテインメントに変える」能力を秘めているのかもしれない。

いつの時代でも「当たり前という固定観念」を変えるには相当のエネルギーが要求される。しかし、そこを克服するから「新しい時代」が築けるのではないだろうか。