【提言・自動運転・インプレ】産業春秋/自動運転の心構え

運転者が同乗して自動運転をサポートする「レベル2」の実証実験で自動運転車に試乗した。幕張新都心(千葉市美浜区)の公道2キロメートルを最高時速40キロメートルで走行した。公道での実証実験は千葉県内では初めてとなる。操作をシステムに任せ、運転手がハンドルから手を離した状態で、進路変更するのを目の当たりにすると、自動運転車に乗っていることが実感できる。だが、レベル2とはいえ、運転をシステムに任せることに運転手は不安にならないのだろうか。私は怖い。同乗した群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センターの小木津武樹副センター長に尋ねると、最初は「怖いが、やがて安心し、そして頼り切り、それが過信につながる」と警鐘を鳴らす。あおり運転など「ロードレイジ」が社会問題となっているが、流れよりも速度が遅くなりがちな自動運転車はあおり運転の対象になりかねない。運転手のアンガーマネジメントが大切になる。逆に気を使いすぎて、互いに「どうぞ、どうぞ」と道を譲ることで、渋滞につながる懸念もある。完璧な自動運転技術が確立し、法律や保険などの制度が整備されたとしても最大の課題が残る。それは自分の心をしっかり運転できるかどうかだ。

産業春秋/自動運転の心構え(日刊工業新聞)