【カルチャー・未来】磯田道史・評 『拡張の世紀』=ブレット・キング著、上野博・訳

人工知能(AI)の発達で大変化が起きる。ただ、その激変がいかなるもので、20~30年後の社会は、どうなるか。それを知るのに好個の一冊である。将来、車は自動運転化で免許不要。路上を往来する車を「時間借り」するので車の保有も激減。10年後には、ロンドン中心部で人間による運転が禁止されるとまで、著者はいう。そんなに変化が速いか?とも思うが、人類の生活相の変化は、我々の代から、超高速化している。新技術が25%の普及率に達するのに要した時間をみよう。米国の場合、電気が46年、電話が35年だったが、今は速い。携帯電話は13年。フェイスブックやアイフォンは3年ぐらいで達した。過去なら、千年かかった変化が1世代25年で一気に降りかかってくる。そんな人類史の変曲点に、我々はいる。

磯田道史・評 『拡張の世紀』=ブレット・キング著、上野博・訳(毎日新聞)

 

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