【話題】「モビリティ」に照準定める化学産業

日本の化学メーカーが定める重点分野として、再び自動車を中心とする「モビリティ」分野の存在感が高まっている。リーマンショックによる世界的な自動車生産の減少などを背景に、一時は同分野への過度の傾注から離れる動きもあったが様変わりだ。そこでの課題は、単なる素材、部材の供給という立場を超え、モビリティ分野で、いかに付加価値を上げるかにある。欧州など、これまで攻略が難しかった市場でのビジネスも大きな挑戦といえる。モビリティ分野は、化学メーカーにとって、これまでにないほど可能性が膨らんでいる。一段の軽量化の要請、電気自動車(EV)市場の拡大、自動運転技術の進展による、さらなる電装化など、同分野の近未来の課題やトレンドが、いずれも化学のソリューションを必要とするためだ。ますます厳しくなる環境規制に対応するには、車体軽量化を実現する新たな素材が欠かせない。また電気自動車(EV)の存在感が高まるなかで”化学技術の塊”ともいえるリチウムイオン2次電池の需要が大きく拡大すると期待されている。加えて自動運転技術の進歩と電装化の加速は、これまでも日本の化学企業が得意としてきた情報通信技術(ICT)・エレクトロニクス関連用途の間口を大きく広げることになる。

「モビリティ」に照準定める化学産業(化学工業日報)

 

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