トヨタの本気で、モビリティみらいが少しだけ見えてきた

トヨタが自動車メーカーからモビリティカンパニーへと舵を切ってから久しい。その象徴的な提案が「Woven City(ウーブン・シティ)」ではないだろうか。

モビリティとは文字通りヒト、モノ、情報の移動を指す。トヨタはその手段の一部である自動車を製造し、世界一の生産台数を誇る企業までになった。そしてこれからは「クルマの価値の拡張、モビリティの新領域への拡張、モビリティと社会システムとの融合」を進めていくという。そのテストコースがWoven Cityなのだ。Woven Cityは2025年に一部実証開始と言われている。注目したいのは、移動のハードよりも、道路インフラの考え方だ。

地上には、自動運転車の道、歩行者の道、低速モビリティの道の3種類。地下には物を運ぶための第4の道がある。おそらくだが、ここがモビリティみらいには一番重要だと思っている。

少なくても従来までは、クルマが増えて渋滞などの不都合が起き、➡それを和らげるために高速道路や一般道路を拡張し、➡自転車は車道と一部歩道に追いやり、➡歩行者は一応専用歩道があるが、➡キックボードなどは明確にはどこを走ってよいか曖昧だ。

何が言いたいかというと、どうやら今までは本来あるべき順序が逆だったのではないか。つまり移動体があって、その次に道路設計するのではなく、あらゆる移動手段を事前に察知して道路などを設計するのが本来の在り方なのではないか。どうやらWoven Cityはその実験場でもあるようだ。

今後、あらゆる大きさ、形状、機能を持ったモビリティが登場するであろう。大切なことは、それらが安全、確実に、そしてどこにも迷惑、不安を与えずに移動を完了させることだ。

自動車各社が100年に一度の大変革期と断言している理由は、クルマ作りのノウハウを生かすこととはまったくの別世界を構築しなければならないからだ。

おそらく理想的なモビリティみらいを築けるのは、規模よりも価値観の変化に敏感なアイデアと実現ではないかと。世界的な規模を誇るトヨタやGMは、どうやらそこに気付いているように見える。