東京に大雪が降るとなぜ自動車は無力化するのか

1月22日に降った大雪は東京都心部も襲った。今にはじまったことではないが、雪は道路だけでなく交通全体をマヒさせる威力を持つ。自動車はまともに走れなくなり、不本意ながら道を塞いでしまったたった1台の自動車のせいでその道路は機能を失い駐車場と化す。

果たして、なぜ昔からいつもこうなってしまうのか。人の運転が下手だから? 自動車は進化するが雪道性能は考慮していない? いずれも間違ってはいないが答えにはならない。

今、AI&自動運転やConnected技術が飛躍的に進もうとしている半面、自動車の足元は意外と原始的なように思う。つまりタイヤですね。

30年ほど前、ある高性能タイヤの記者発表の日にたまたま雪が降った。記者質疑応答の際に自動車評論家ではなくある著名カメラマンが、「なぜ、こういう天気の時でも安心して走れるタイヤが作れないのか?」と質問されていた。まさしくそうだな、と思ったことを記憶しているが、タイヤメーカー側がどう返答したかは覚えていない。

タイヤに関しては、今もその時とほとんど変わっていないように思う。オールシーズンタイヤなるものが存在するが、本当にオールシーズン(全天候)対応ならもっと普及していいはずだ。つまり、東京では3年か4年に一度大雪があるから、雪の時はスタッドレスタイヤ並みの性能を発揮してくれればほぼ解決のはずだ。一般ドライバーが夏タイヤとスタッドレスタイヤ両方を持つことは希だから、今回みたいな天候を考えればそういう選択肢が多数派になっていても不思議はない。

果たしてそういう「まっとうな」タイヤは技術的に不可能なのか、それともできるけど「なんらかの企業の論理」が働いているためなのか、そこは分からない。

近い将来自動車が自律運転化されたとしても、毎年冬はくるし雪が降る時も必ずある。すべて自動化された移動体が雪の時に限って移動を拒んだら、ちょっとシャレにならない。