【提言・次世代モビリティ】“誰も置き去りにしない”まちづくりを。持続可能なモビリティに求められる「公正な移行」

2022年5月に開催された国際交通フォーラム(ITF)サミットでの、事務局長のキム・ヨンテ氏の言葉だ。ITFは、64の加盟国、民間企業、有識者が、交通政策に関する意見交換と、交通に関する調査研究を行う組織だ。同サミットでは、世界各国政府のモビリティにおける包括性と持続性を評価し、「人」を中心とした持続可能なモビリティシステムの移行が議論された。

手頃な価格で、安全かつ快適なモビリティは、雇用、医療、教育などへのアクセスに欠かせず、社会経済的平等を左右する。性別、年齢、能力、社会経済的地位、地理的条件に関係なくモビリティにアクセスできる社会は、私たちが目指すべき世界であり、すべてのステークホルダーにとって公正かつ平等な方法で移行することが求められている。

現在、交通・輸送は世界の温室効果ガス排出量の約20%を占めており、このままでいくと2050年までに60%増加すると予測されている(※)。2030年までに世界の二酸化炭素排出量を半減し、2050年までに「ネットゼロ」を達成するという国連のパリ協定目標を達成する上でも、持続可能なモビリティへの移行は喫緊の課題である。

“誰も置き去りにしない”まちづくりを。持続可能なモビリティに求められる「公正な移行」(IDEAS FOR GOOD)