【提言】あまり語られない電気自動車の普及を阻む盲点

2023年の干支は兎(うさぎ)だ。次の兎の年は12年後の2035年であるが、それまでに日本で国内新車販売の全てが電動車(※1)に移行することが決定している。2022年12月には日本カー・オブ・ザ・イヤーを軽規格の電気自動車が受賞し、日本で電気自動車が本格的に普及するきっかけとなるのではと話題になった。ただ、欧州ではノルウェーやスウェーデンのように既に新車販売の半分以上が電動車となるなど(欧州自動車工業会:ACEA)、世界では急速に乗用車の電動化が進んでおり、日本でもさらなる普及が急がれる。

世界における乗用車のもう一つのトレンドは、以前、筆者が弊社コラム(※2)で書いたように、SUV化だ。SUVは車高や最低地上高が高い車であり、悪路でも走破しやすい車だ。SUVでは重心が高くなるため、走行安定性を確保するには車幅を広げる必要がある。またSUVだけでなく、近年はどのタイプの車も衝突安全性能を高めているため全体的に車幅が広がっており、乗用車は年々、大型化している。日本ではこれまで国内の道路事情を考慮した比較的車幅の狭い乗用車(いわゆる5ナンバー車)が多かったが、上記の理由に国内市場の縮小の影響も加わって、日本車でも世界的なトレンドに沿った、大きなサイズの乗用車の販売割合が増えている。

あまり語られない電気自動車の普及を阻む盲点(大和総研)

 

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