MaaSはフィンランドだからできて、日本ではなぜ困難なのか

MaaS(マース)とは、「MaaSの基礎知識1(Tech Note)」によると、「車両ではなく、移動のしやすさと理解した方が適切。すなわち、さまざまな交通手段の中から移動手段を選び、場合によってはそれらを組み合わせて一つのサービスとして扱うこと」としている。

 

MaaSが自動運転の普及に大きな意味を持つことが今では広く知られることになった。この記事によるとMaaSの先進国はフィンランドということだ。果たして日本はどこまでフィンランドについていけるのか考えてみた。

 

MaaSがフィンランドで生まれ普及した4つの理由から、日本での実情をみると。

1:そもそも全ての公共交通機関が公営の交通局で一元管理されていたこと。

➡日本ではほぼ不可能。

2:シェアサイクルやオンデマンドバスなどの実証実験や社会実装に積極的に取り組み、交通局がその運営と運行に深く関与していたこと。

➡日本でもその動きはあるが、全国的に普及の状況には至っていない。

3:携帯電話のルーツといえるNOKIA発祥の国であり、情報先進国としてのプライドがあったこと。

➡残念ながら日本はほとんど輸入製品に頼ってきたし、デジタル化も政策としての掛け声だけは大きいが、お世辞にも進んでいるとは言えない。

4:北ヨーロッパの国々は自動車産業を有せず、地球温暖化問題への取り組みに真剣で、特に自家用車利用を減らすという政策合意の共通認識があったこと。

➡この点が日本にとってMaaS普及進展を阻害する大きな要因となっている。日本にとって自動車産業は要であるし、地球温暖化への取り組みの声はあっても、自動車とそれ以外の企業にとっては膨大な利害が生じるため、本格的進展は難しいはずだ。ましてや自家用車利用を減らすなど、現時点では自動車産業にとっては死活問題になる。

 

MaaS普及がすべてとは言わないが、世界幸福度ランキングでフィンランドは1位、日本はなんと62位という結果が物語る意味を日本人は考える時期にあることだけは間違いない。