【提言・市場】EVシフトが起こす自動車産業の構造変革

2050年のカーボンニュートラル達成に対応する各国の規制強化が本格化しつつあり、再生可能エネルギー(再エネ)率の高い国や地域ではEV化への志向が高まっている。特に欧州では、2035年から欧州内で発売できる新車は、EVや燃料電池車のみとし、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売を規制することを提案するなど、日系自動車メーカーが得意とする分野に対する政治的な制約が課せられつつある。脱炭素化にあまり積極的でなかった米国や中国でも、政府がカーボンニュートラルへの対応を着実に進めることを明らかにしており、世界全体でEVシフトの波が押し寄せている。EV化の潮流は、自動車産業に対して構造変革を迫ることになる。実際、その部品点数の少なさから、EVの生産では水平分業モデルが勃興しつつある。「iPhone」の製造委託で有名な鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)は、EVプラットフォーム「MIH EV Open Platform」を発表し、参画企業は1300社超に上っている。日本からはNTTや村田製作所、日本電産、ロームなどが参加している。世界シェア10%を目指すとしており、既に米ベンチャーのフィスカーやステランティスの「アルファロメオ」ブランド、中国の浙江吉利(ジーリー)や拜騰汽車(バイトン)などのEVの量産を担当することを明らかにしている。

EVシフトが起こす自動車産業の構造変革(日経BP 総合研究所)

 

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