超小型EVは、どうすれば消費者の実生活に溶け込めるのか?

街に溶け込む一つの形を実現させたEVベンチャー

日本エレクトライクの社長である松波登氏は、かつてトップクラスのラリードライバーだった。そのせいかどうかは定かではないが、いわゆる「操縦性」にとことんこだわったように思える。すぐれた操縦安定性(ハンドリング)は、何も高級スポーツカーだからではなく、すべてのクルマ共通のテーマであるはず、という考えには大いに共感できる。

日本エレクトライクの社長である松波登氏は、かつてトップクラスのラリードライバーだった。そのせいかどうかは定かではないが、いわゆる「操縦性」にとことんこだわったように思える。すぐれた操縦安定性(ハンドリング)は、何も高級スポーツカーだからではなく、すべてのクルマ共通のテーマであるはず、という考えには大いに共感できる。

良くも悪くも法制度改善にはあまり依存せず、現状の法律の範囲内でそれを最大限活用してしまおう、ということをやってのけたEVベンチャーがある。
昔あったミゼットを彷彿とさせるようなスタイルの3輪EVが今注目されているが、川崎市の日本エレクトライクが発表した同名のEVがそうだ。

このEVは、その愛らしいスタイルもさることながら、一種の「割り切り」が奏功しているクルマの好例と言えよう。箇条書でその理由を述べると、
●トライクなどの3輪自動車と同じ「側車付軽2輪車」の寸法規格のため、自動車税は年間2400円(2016年4月からは3600円)で済む。
●側車付軽2輪車規格であるため、ヘルメット着用、シートベルト装着義務はない。
●集配業務用主体で考えているため乗降頻度の多さを考慮しドアはない。雨の日は合羽を着て走行、と明快。
●価格は「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」が受けられるため100万円と130万円。この価格差は搭載電池の満充電航続距離の違い。現段階ではいかに電池が高額かが分かる。この価格、高いか安いかは個人の判断に委ねるが、だいたい軽トラックと同等より若干高い程度とみる。
●燃費(電費)は圧倒的に安く、1㎞走行当たり費用は充電時間帯により1.2~3.1円。ガソリン車の7円程度を大幅に下回る。
●最大積載量は150㎏で、軽トラックの半分程度とはいえ、ほとんどの集配業務に堪えられる設定となっている。

エレクトライクが主張しているのは、「狭い街中を配達などに使うなら、こういうクルマで十分だし、かえって便利じゃないですか?」と説いているようにも思える。昭和30年代への郷愁と言われる方へ最後に一言。
実はこのクルマ、カーブを曲がろうとするときにステアリングの舵角をセンサーで検知し、カーブの内側の後輪に掛かるトルクを減らす一方、外側の後輪に掛かるトルクを増やして最適なコーナリング性能と転倒防止などの安全性を実現させているのだ。
姿はレトロかもしれないが、中身はハイテクを駆使しているところが、今を感じる。