超小型モビリティ(超モビ)はどこへいく! こんな「行き場」もあるのでは? という一提案

本コラム上では「超小型モビリティ」について今まで多くのスペースをさいてきました。
ごく安易に「(けっこうカッコよくて可愛いから)こういうクルマがあってもいいじゃないか!」といった三流リポーター風論法に終始していたような気もします。でも、それってまったく建設的じゃないな、と最近強く思うようになりました。
ところで、この超小型モビリティ、ちと呼称が長過ぎるので、ここでは「超モビ」と略させていただきます。

超モビに熱心な自動車メーカーは、日産が早くからルノー・トゥイジー日本版の「ニューモビリティコンセプト(これも長い!)」の実証実験を、活用法も含めて積極的に行っていますね。ホンダ、トヨタも、目指すところは各社微妙に異なるようですが、結果としては日産同様超モビの実証を進めている真っ最中です。

日産ニューモビリティコンセプト
あらゆるところで、あらゆる使い方を検証中。基本はルノー・トゥイジーと同じなので、規格さえ決まればいつでも量産可能な超モビといえるだろう。

ホンダMC-β
ホンダのリリースによると「歩くには遠いけれど、自転車ではちょっと不便。そんな近距離移動に適しているのが、このMC-βです。歩行者に近く、暮らしに密着した、街に寄り添うクルマを目指します」としている。まさしくホンダのマンマキシマム・メカミニマム思想の真骨頂。

トヨタi-ROAD
豊田市での都市交通システム「Ha:mo(ハーモ)」での運用のほか、東京、神奈川の首都圏で20人程度のモニターによる実証実験が行われている。

ダイハツPICO
2011年の東京モーターショーに出展された。スタイリング、機能のあらゆる面からみて理想形に近い超モビと感じるが、日産、ホンダ、トヨタと異なり、その後の音沙汰はない。ぜひとも市販化に向けてひと押ししてもらいたい1台。

トヨタ車体コムス・T-COM&P-COM
2013年4東京モーターショーに参考出品されたのが2人乗り・ドア付きのT-COM。もちろん超モビ規格を念頭にいれたクルマであることは間違いない。P-COMはミニカーEVの草分けであり、何度か改良が施された。最近ではカラーリングを増やして女性層を狙っているとのこと。

D Art・D-FACE
メーカーによると、「2014年モニター販売、2015年には量産として展開予定」とだけある。車幅が軽自動車並みにあるが、スタイリングはイセッタ風前開きドアの意欲的なもの。タンデムシートではなく横並びの2人乗り。こういうシートレイアウトのニーズも少なくない。市販された時のメディアの反応が見もの。

FOMMコンセプトOne
かなり話題を呼んだ超モビ。このサイズで4人乗りもすごいし、インホイールモーター搭載メカも意欲的。しかし、主体は日本国内向けではなく東南アジア向けのようだ。

 

この超モビ、今のところ(本当は未だ、と書きたい)実は市民権がない。要するに市販車としては1台もないのです。トヨタ車体コムスはEV市販車の草分けですが、現時点では道交法上の「ミニカー」に属します。

所轄官庁である国交省によれば、超モビとは、
「交通の抜本的な省エネルギー化に資するとともに、高齢者を含むあらゆる世代に新たな地域の手軽な足を提供し、生活・移動の質の向上をもたらす、省エネ・少子高齢化時代の新たなカテゴリーの乗り物」としています。
メーカーは自治体などと協力し、様々な検証を重ねています。そして再来年くらいには晴れて「超小型モビリティ(超モビ)」という新しいカテゴリーが確立されるようです。むろんメーカー各社の緻密な実証実験を否定するつもりは毛頭ないのですが、※う~ん、遅い!(注:※はこちらの勝手な心の叫び)

日産が横浜で行っているカーシェアリング「チョイモビ」、ホンダが熊本県、さいたま市、宮古島市で行っている公道走行実験、トヨタが豊田市で行っているモビリティネットワークの実証試験「Ha:mo」での「i-ROAD」、「トヨタ車体T-COM」などがそうです。

超モビの規格ですが、現段階では暫定的に、

  • 長さ、幅及び高さがそれぞれ軽自動車の規格内のもの。
    ※う~ん、アバウト!
  • 乗車定員2人以下のもの又は運転者席及び2個の年少者用補助乗車装置を装備しているもの。※う~ん、主婦の声? でもいいと思う。
  • 定格出力8キロワット以下(内燃機関の場合は 125cc 以下)のもの。※う~ん、内燃機関に配慮する必要あるの?
  • 高速道路等を運行せず、地方公共団体等によって交通の安全と円滑が図られている場所において運行するもの。

としており、地方公共団体又は地方公共団体が設置する協議会が地方運輸局長に申請する認定制度の下、初めて公道走行を可能としているのです。

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