EVは「異質化イノベーション」のコアになる!

調査機関などの予測リポートを確認するまでもなく、EVの普及・浸透は「見込み」から「現実」のものとなってきている。EV関連事業者には少々乱暴な言い回しかもしれないが、大企業同士の技術提携(GMとプジョーの提携など)や充電方式の規格(欧米7社のコンボ方式対日本のチャデモ方式)に関するせめぎ合いなどは、ある一定の到達点までに必ず生じる必然的な過程であると思っている。それもこれもEVが今後の移動手段商品の大きなカギを握っているからに他ならないからだ。

もはや言葉にするのも虚しいが、この国の政治と行政にはほとほと呆れ果てるしかない。
米フォーブスが発表した2012年世界長者番付ベスト100に日本人で唯一選ばれた、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が東日本大震災の政府対応に関連して産経新聞のコラムでこのように述べている。
───東電の事故収束宣言について。
「国民は誰も収束したとは思っていない。政府、経産省、東電の責任をはっきりさせるべきだ。個人で責任を取らないのは日本人の悪いところ。失敗した本人が責任を取らなければ、いずれそれ以上の失敗をする」。
───エネルギー確保について。
「東電をどうするかでなく、電力をどうするかをはっきりさせるべきだ。最悪なのは何も決めないまま見通しもなく節電して日本経済がだめになることだ」。
───現政権について。
「今やっているのは、選挙のときに言っていたことと全然違う。野党も同じ。まともに協力もしなければ批判もしない。この国は下手をしたら3年で破綻し、どの国からも相手にされなくなる」。

まさしくほとんどの人が思っていることを代弁されていると思う。政治と行政が、あまりにも市井の実態と乖離している事態に警鐘を鳴らしているのだ。
企業には様々な責任が要求されるが限界もある。例えば、世界的半導体メーカーであるエルピーダメモリが会社更生法の適用を申請するという衝撃的な出来事があった。理由は韓国企業の台頭と並行して異常な円高に対処し切れなかったことによるものらしい。皮肉にも同社のDRAMの損益はいいし、製品の圧倒的な高品質にも関わらずにである。高度な技術力を持っていても、今の円高には勝てなかったということでもある。まさに政府無策が招いた典型的な負の事例だろう。

よくコストと品質が取り沙汰されるが、結論から言えば両方を要求されるのが当然だと考えている。
大企業同士の提携は、ほぼマーケットの確保と技術の補完し合いだろう。で、最大の目的は世界シェアの拡大である。もちろんコストも品質も重要な要素だが、どうもスケールとボリュームの確保が第一義になっているように思えてならない。しかし、である。