何を今さら・・・日本の自動車関係税は世界一!?

11月13日の段階で民主党税調が、自動車取得税と重量税を廃止との見解を発表し、ついに・・・と思ったのも束の間、翌14日の報道では財務省と総務省が「代替財源が見当たらない」と、早急な見直しには慎重な姿勢を見せ、早くも暗雲の様相を呈している。
コトの発端は定かではないが、円高、震災、タイの洪水の三重苦に喘ぐ自動車業界が、多少なりともマイナス要因を払拭するために国内需要を喚起しようとの減税措置要望であることは十分理解できる。
毎度カタい話しで恐縮だが、日本の自動車関係税はそもそも論で言えば「重いし、古い!」。ここで、その税額が高いか安いかを論じるつもりはないが、事実として欧米諸国と比べてもかなりの重税であることはまったくもって否定できない。

日本の自動車関係税は、「取得」、「保有」、「利用(走行)」の3段階になんと9項目もの課税がなされる。取得税と消費税(どう考えてみても二重課税)は取得時、重量税と自動車税は保有時に課せられる。そして代表的な欧米諸国と比べても、仮に180万円の自動車(乗用)を購入したとすると、
日本⇒取得税 (約9万円)+重量税(約17万円)+自動車税(約44万円)=約70万円
ドイツ⇒22万4000円(自動車税)=日本の約3分の1
フランス⇒4万2000円(登録税)=日本の約16分の1
アメリカ⇒1万4000円(自動車税)=日本の約49分の1
というのが実態だ。アメリカの自動車税制は例外的に安いとしても、日本の自動車関係税が、いわゆる先進国の中でも突出して高いことは厳然たる事実。

 

取得・保有・走行の各段階で課税される自動車関係税 

税目
国税・地方税
仕組み
使 途
税率・税額
本 則
取得段階
消費税
国税
自動車価格に課税
一般財源
5%
自動車取得税
都道府県税
購入時の取得価格を基準に課税
(50万円以下は免税)
道路特定財源
(地方)
自家用 5% (暫定)
営業用・軽3%
3%
保有段階
 
自動車税
都道府県税
毎年、4月1日現在の
持ち主に対して定額で課税
一般財源
自家用乗用車の例
1,001~1,500cc
年額34,500円
軽自動車税
市町村税
毎年、4月1日現在の
持ち主に対して定額で課税
一般財源
自家用軽乗用車の例
四輪乗用車
年額7,200円
自動車重量税
国税
車検時ごとに
車の重量に応じて課税
道路特定財源
(国・地方)
(注2)
自家用乗用車の例
6,300円 (年額・暫定)
・自重0.5トンごと
2,500円
走行段階
 
揮発油税
国税
ガソリンに課税
道路特定財源
(国)
48.6円/L (暫定)
24.3円
地方道路税
道路特定財源
(地方)
5.2円/L (暫定)
4.4円
軽油引取税
都道府県税
軽油に課税
道路特定財源
(地方)
32.1円/L (暫定)
15.0円
石油ガス税
国税
LPガスに課税
道路特定財源
(国50%、地方50%)
17.5円/kg
 
消費税
国税
燃料価格に課税
一般財源
5%
(注1)
暫定税率の期間 自動車取得税 1974 (昭和49)年4月~2003 (平成15)年3月
自動車重量税1974 (昭和49)年5月~2003 (平成15)年4月
揮発油税・地方道路税 1974 (昭和49)年4月~2003 (平成15)年3月
軽油引取税1976 (昭和51)年4月~2003 (平成15)年3月
 
(注2)
自動車重量税の4分の3は国の一般財源 (ただし8割は国の道路特定財源)、4分の1は地方の道路特定財源。
出典:日本自動車工業会

 

果たして・・・・日本の自動車消費というものが、どれほど国家の税収に貢献してきたかが分かろうというものだが、これほどの重税にも関わらず日本は7500 万台ものクルマを保有し、落ちたとはいえ年間約500万台もの新車需要を維持している。まさに奇跡ではないだろうか。ただし、今まではですよ・・・・多分。
酒やタバコなど嗜好・贅沢品と分類されるものと同等に扱われているのが我が国の自動車関係税なのである。一体、この時代に自動車を嗜好・贅沢品(ごく一部にはあるが)などと考える人などいるのであろうか? 都市部ならともかく、交通インフラが整わない地方では生活必需移動手段であることは歴然としているのにである。この国の経理部(財務省のこと)は、一度獲得した収入(税)は死んでも離さないぞ! って単に思っているのでしょうが、世の中の趨勢、すなわち今求められる正当な仕組みに改めなければ先進国の名がすたるというもの。では減収分はどうするのかって? それをどうにかするのが政治の役目じゃないですか!
これだけは言える。今までは自動車産業が日本を豊かにする一因を担ってきた。が、状況によっては(国の対応次第では)国内自動車メーカーといえども国よりも会社の存続をとるだろう。もしそうなったら、税収減どころの沙汰ではない。その兆候はすでに見え始めているのだ。

先日、大阪府知事・市長選で橋下徹氏率いる「大阪維新の会」がともに圧勝した。大阪府民と市民の判断は、「現状の打破」だったに違いない。大阪の人も日本全国の人も、官の既得権益とムダのオンパレードには辟易としていることがまさに露呈した格好だ。
日本の政治家の皆さんは、何(自動車取得税と重量税)をなくすと何千億円税収が減るなんてしょぼい計算しないで、何を仕掛ければ日本は世界のキーマン国家になれる、くらいの高い次元の発想をしてほしいものだ。
因みにEVに関連する展望、ビジネスには、国家を建て直すくらいのポテンシャルを十分持ち、秘めていることを最後に付け加えておきたい。おそらく永田町の先生方はご存じないだろうが・・・。