提言! 日本は政策もハイブリッドでいこう!!

日産リーフ

日産リーフ:いよいよ2010年12月に日米同時発売を開始する日産リーフ。自動車税制(環境税制を含む)から、充電インフラまで大きなきっかけと起爆剤になるものと期待される。(photo:日産自動車)

円高とデフレだけの理由ではないにしろ、日本の名目GDPは下降状況にある。何より日銀が示す数字上の問題よりも、日本で生活する誰もが将来に大きな不安感を抱いていることこそが大問題だ。

自動車は日本の基幹産業であることで、景気や海外動向により生産規模が影響を受けやすい。そうした減産を避けるため(雇用維持)に、エコカー補助金という消費刺激策を立てたが、それも9月末(実際は9月7日で終了)で終了する。つまり、多かれ少なかれ販売減少という反動というか副作用が表れるのは必至だろう。

国の取り組みだが、現政権のグランドデザインがよく見えない。漠然としているのは、成長戦略の主体と骨格を環境と福祉に持っていこうとしているようだが、その具体的な道筋がよく見えてこない。

現段階の施策としては下記の表にある自動車を「クリーンエネルギー車」として、ほぼ一括りとして、一定の優遇策が施されている(エコカー減税やエコカー補助金)。が、果たしてそれだけで本当にいいのだろうか。

*主なクリーンエネルギー車
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ざっと表で示しているように、それぞれのクリーンエネルギー車は自動車の格好をしている共通点を除けば中身やエネルギー供給インフラは相当異なる。それぞれの抱える課題は大きく違うし、クリーンの意味合いも微妙に違う。

低炭素戦略は経済成長と反比例しない!

大枠での判断基準として今一番妥当なクリーン基準はCO2や有害物質の排出量だろう。仮に走行上だけで考えれば、CO2排出がゼロとなるのはEV、燃料電池、バイオ(ゼロではないがカーボンニュートラル)で、プラグイン・ハイブリッド、次世代ディーゼル、ハイブリッド、CNG車などが低い排出量で続き、通常の内燃機関車両(もっと実情に見合った新たな基準仕分けが必要だろう)の順となる。

ダイハツの広報資料から抜粋したクリーンエネルギー車の構図。自動車の動力エネルギーはほぼ電気、ガソリン/軽油、代替エネルギーの選択肢しかないことが分かる。ハイブリッド車は従来燃料と電気の混血であることもこの表で分かる。(photo:ダイハツ)

ダイハツの広報資料から抜粋した図が分かりやすかったので引用したが、今後の大きな流れとして、電気にするか、化石燃料を少なく(大切に)使うか、いっそ代替燃料にシフトするかが、国の施策としては大きな課題となるだろう。

ここは、速やかに時間割も含めたマクロでの目標点を定めるのが、民間の知恵に則った政治というものではないだろうか。もちろん「行程上段階的に」が現実的であることは否定しない。当面は内燃機関(おそらく今の技術は究極まで燃費などの性能は進化)と、EVを中心とした次世代エネルギー車の文字通り「ハイブリッド戦略」でいかざるを得ないからだ。

そのためには単に何をどれだけ優遇するか、といった従来型の施策ではなく、その自動車が示す将来性を「持続可能社会係数」みたいなものを定めて公平に算出し、実態に見合った対応を示すことこそが国がやるべき真の支援策ではないか。

また、EVだとインフラ整備が大掛かりで、やはり供給インフラが定着している内燃機関への依存度を変えるべきではないという考えがあるが、それはむしろ逆で、新しい整備が大きな経済効果(刺激)になる可能性を有していることを無視してはならない。

政策とは、民間が考え、蓄積した知恵や流れ(空気でもいい)を国が斟酌して、速やかかつ大胆に実行することを言うのではないだろうか。もはや、低炭素政策は基幹産業の足を引っ張るという通念をひっくり返すぐらいの意気込みと意欲を、時の政権が示す時期にきていることだけは間違いない。