【提言・未来】将来を直視した柔軟な制度改革を

2030年にはすべての都道府県の人口が減少に転じる。国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別の将来推計人口だ。なかでも地方は厳しい。15年には102万人だったが、30年には81万人に減り、その15年後には60万人になる。秋田県の人口である。しかも、県民の半分は高齢者が占める。少子化対策に力を入れ、東京への過度な集中を抑えることは必要だが、それでも地方の人口は減り続ける。道路や下水道のようなインフラや公共施設の老朽化も深刻だ。道路橋だけをみても30年には全体の6割が建設から50年を超す。仮に新規の整備をやめ、自治体の公共事業予算をすべて更新費に振り向けても、膨大な社会資本全体を維持することはもはや難しい。残すインフラや施設を選別するしかない。地域に不可欠な機能も縮小していく。公立の小中学校や高校はすでに毎年、500校程度消えている。大学の再編も広がる。高等教育の場を失えば、地方からさらに人材が流出しかねない。

将来を直視した柔軟な制度改革を(日本経済新聞)

 

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