プロ野球オーナー企業が、自動運転に熱心なワケ

自動運転報道、いいね!orそかね? act1

団塊世代から見ればプロ野球球団を持つ企業とは、一に新聞、二に鉄道、三四が無くて五に映画だったように記憶している。この何十年かで何回もオーナー企業が変わり、現在は楽天(東北)と日本ハム(北海道)があるから、東京以北を本拠地とするチームが存在するようになったことはまことに喜ばしいことだと思う。

さて、話しは野球のことではもちろんない。ホークスのオーナーであるソフトバンクとベイスターズオーナーのDeNAのことだ。両社に共通していることはプロ野球の運営以外に、未来を見据えた先端技術を使った交通システムにとても熱心なことだ。

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まずソフトバンクの方は子会社であるSBドライブが全国のあらゆる地域、場所、バス会社などとタイアップして自動運転EVバスの実証実験運行を実現させている。その中には福島第一原発への導入まである。

現時点では限定された場所に限られるが、実際に走らせてみて実態を把握し、データや問題点などを蓄積させる進め方のようだ。自動車メーカー主導の実証実験と決定的に違うのは、自動車ハードではなく、あくまで「自動運転」というものが、利用する「人」とどう向き合って機能していくかに力点が置かれているところだ。

現に主力の自動車ハードは日本製ではなくフランスの15人乗り「NAVYA ARMA(ナビヤアルマ)」を採用する。少し残念だがこの目的に合致する車両が日本にないからであろうと推察できる。

 

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もう一方のDeNAはというと、宅配便大手のヤマト運輸と協定して「ロボネコヤマト」を神奈川県藤沢市で自動運転社会を見据えた次世代物流サービス実験を始めたことだ。

これは、専用のミニバンEVを使用しAIによる配送ルートの最適化を行い、配送時間帯を10分刻みで指定できるというサービスだ。

宅急便を望む時間帯に望む場所で受け取ることができるオンデマンド配送サービス「ロボネコデリバリー」と、地元の商品を運んでもらえる買物代行サービス「ロボネコストア」のふたつのサービスを、対象エリアに住む人たちに提供するという誰からも望まれるような実験だ。

まさしく両社が中心で行っている自動運転社会への挑戦とは、主体が利用者、つまり人であるところが大きなポイントだと感じる。自動運転が高度な先端技術の塊であることは当然のことで、大事なことは人にとっての快適さを提供することとは何か、だ。

何より野球の世界ではないが、いずれもスピード感をもって取り組んでいる。自動運転とは技術はもちろんだが、法整備、インフラ整備、そして何より人の理解が重要だから、こういう実情に沿った取り組みが実は大切なのではなかろうか。

自動運転への世界各国の取り組みを見るにつけ、明らかに日本は一歩も二歩も遅れているように感じる。しかし、この両社の取り組みは日本が進めるべき現実的な課題ではないだろうか。そこに惜しみなく「いいね!」をあげたい。

 

豊田喜一郎がトヨタ自動車を始めたのがベンツ&ダイムラーから遅れること50余年、フォードからは30余年遅れた。

つまり、自動車ハードの製造はその欧米技術に追いつけ追い越せの歴史だった。そして今、自動運転には欧米のみならず中国も物凄い勢いとスピードで取り組んでいる。

果たして、自動運転は東京オリンピックで一部をなんとかすればいいなどと悠長なことを言っていていいのであろうか・・・・・。